身内が亡くなり、手続きが大変だったという話を聞きます。
どんなことをしなければならないのか、死後の手続きをまとめました。
死後の手続きリスト
逝去直後~葬儀前
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. 死亡診断書(または死体検案書)の受け取り | 病院、診療所、警察(検視の場合) | 医師から受け取ります。 |
2. 親族・近親者、関係者への連絡 | 各自 | 故人のエンディングノートや連絡帳などを参考に、速やかに行います。 |
3. 葬儀社の手配・打ち合わせ | 葬儀社 | 遺体の搬送、安置場所、葬儀形式、日程などを決定します。 |
4. 遺体の搬送・安置 | 葬儀社、病院、警察署など | 病院や自宅、斎場の安置施設などへ搬送・安置します。 |
5. 死亡届の提出、火葬(埋葬)許可証の受け取り | 故人の本籍地、死亡地、または届出人の所在地の役所 | 死亡の事実を知った日から7日以内(国外では3ヶ月以内)。通常、葬儀社が代行することが多いです。 |
6. 通夜・葬儀・告別式の執行 | 葬儀社、斎場、寺院など | 葬儀社と打ち合わせの上、執り行います。 |
葬儀後~14日以内を目安に行う手続き
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. 世帯主変更届 (故人が世帯主だった場合) | 住民票のある役所 | 変更があった日から14日以内。 |
2. 健康保険資格喪失届・保険証の返却 | 国民健康保険: 役所 社会保険: 故人の勤務先、または年金事務所・健康保険組合 | 国民健康保険: 死亡日から14日以内。 社会保険: 速やかに。会社経由で手続き。 |
3. 介護保険被保険者証の返納 | 役所 | 死亡日から14日以内。 |
4. 年金受給停止の手続き (年金を受給していた場合) | 年金事務所または年金相談センター | 国民年金: 14日以内。<br>厚生年金: 10日以内。未支給年金の請求も同時に確認。 |
5. 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更または解約 | 各契約会社 | 速やかに。 |
6. NHK放送受信契約の解約 | NHK | 速やかに。 |
7. 通信契約(固定電話・携帯電話・インターネット)の名義変更または解約 | 各契約会社 | 速やかに。 |
相続手続きの準備・初期対応 (速やかに~3ヶ月以内)
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. 遺言書の有無の確認 | 自宅、公証役場、法務局、信託銀行など | 発見された場合、自筆証書遺言などは家庭裁判所での検認が必要な場合があります。 |
2. 相続人の確定 | 役所(戸籍謄本等の収集) | 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本などを収集し、相続人を確定します。 |
3. 相続財産の調査・評価 | 金融機関、法務局、証券会社、故人の書類など | 預貯金、不動産、有価証券、借金など、プラスとマイナスの財産をすべて把握します。 |
4. 【重要】相続放棄・限定承認の検討・申述 | 家庭裁判所 | 死亡を知った日から3ヶ月以内。 借金が多い場合など、相続しない選択肢です。期限を過ぎると原則承認となります。 |
5. 金融機関への死亡連絡・預貯金口座の凍結依頼 | 各金融機関 | 相続手続きが完了するまで、不正な引き出しを防ぐために行います。以降、入出金や引き落としが停止されます。 |
6. 生命保険金の請求 (故人が被保険者の場合) | 生命保険会社 | 受取人が請求します。請求期限(通常3年)があるので注意。 |
葬儀後~落ち着いてから行う手続き (期限に注意しつつ計画的に)
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. クレジットカードの解約・清算 | 各カード会社 | 速やかに。未払金やポイントなどを確認。 |
2. 運転免許証の返納 | 警察署、運転免許センター | 任意ですが、返納または失効手続きを行います。 |
3. マイナンバーカード(個人番号カード)または通知カードの返納 | 役所 | 死亡届提出により失効しますが、カード自体を返納します。 |
4. パスポートの失効手続き | 都道府県のパスポートセンター、市区町村の窓口(一部) | 有効期限内であれば失効手続きを行います。 |
5. 自動車保険(任意保険・自賠責保険)の名義変更または解約 | 各保険会社 | 自動車の相続や処分に合わせて手続きします。 |
6. 各種会員サービス・サブスクリプション契約の解約 | 各サービス提供会社 | 定期購読、オンラインサービスなど、見落としがないか確認します。 |
7. 故人の勤務先に関する手続き | 故人の勤務先 | 退職金、最終給与、未消化有給、社内預金、健康保険証返却、社員証返却、社宅の退去など。 |
8. 賃貸借契約の解約・名義変更 (故人が借主だった場合) | 大家、不動産管理会社 | 契約内容を確認し、手続きを進めます。 |
9. 病院への支払い・医療費関連手続き | 病院、役所、健康保険組合など | 未払いの医療費を精算します。高額療養費の申請ができる場合があります(診療月の翌月初日から2年以内)。 |
10. 香典返し・挨拶状の手配 | 贈答品店、葬儀社など | 四十九日法要後などに行うのが一般的です。 |
税務・相続の専門手続き (期限厳守)
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. 所得税の準確定申告・納付 | 税務署 | 死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内。故人に所得があった場合。 |
2. 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成 | 相続人間、必要に応じて専門家 | 相続人全員で遺産の分け方を協議し、合意内容を文書化します。相続税申告や名義変更に必要です。 |
3. 相続税の申告・納付 (基礎控除を超える場合) | 税務署 | 死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内。基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に必要。 |
相続財産の名義変更など (遺産分割協議後)
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. 預貯金口座の名義変更または解約 | 各金融機関 | 遺産分割協議書、戸籍謄本などが必要です。 |
2. 不動産の名義変更(相続登記) | 法務局 | 相続を知った日から3年以内(義務化)。 怠ると過料の対象となる可能性があります。 |
3. 自動車の名義変更(相続)または廃車手続き | 運輸支局、軽自動車検査協会 | 遺産分割協議書、車検証などが必要です。 |
4. 有価証券(株式・投資信託など)の名義変更 | 証券会社、信託銀行など | 各金融機関の指示に従って手続きします。 |
その他の手続き・供養
やること | 主な窓口・場所 | 期限・備考 |
1. 遺族年金の請求 | 年金事務所または年金相談センター | 故人によって生計を維持されていた遺族が請求できます。種類により請求期限があるので注意。 |
2. 埋葬・納骨 | 墓地管理者、寺院、霊園など | 火葬後、四十九日や一周忌などで行うことが多いですが、法的な期限はありません。 |
3. 法要の手配 | 寺院、葬儀社など | 四十九日、一周忌、三回忌など、故人を偲び供養します。 |
4. 形見分け | 親族、故人と親しかった友人など | 相続財産とは別に、故人の遺品を分け合います。 |
5. デジタル遺品の整理 | 各種オンラインサービス事業者、専門業者 | SNSアカウント、オンラインストレージなど。故人が情報を残していないと対応が難しい場合もあります。可能であれば。 |
手続きを進める上でのポイント
- 期限の確認: 手続きには期限が設けられているものが多くあります。特に相続放棄(3ヶ月以内)、準確定申告(4ヶ月以内)、相続税申告(10ヶ月以内)は厳守が必要です。
- 必要書類の準備: 各手続きには戸籍謄本、住民票、印鑑証明書など、多くの書類が必要になります。事前に確認し、効率よく収集しましょう。
- 専門家への相談: 手続きが複雑で分からない場合や、相続人間で意見がまとまらない場合は、無理せず弁護士、司法書士、行政書士、税理士などの専門家に相談しましょう。葬儀社も初期の段階で様々な相談に乗ってくれます。
- 故人の意思の尊重: 遺言書がある場合は、その内容を尊重して手続きを進めます。
- 情報共有: 相続人や関係者間で情報を共有し、協力して進めることが大切です。
コメント